ポータブルミキサーの製作
マイク用アンプとライン用アンプ
マイク用アンプはSA2011、ライン用は2114です。
micamp.PDF へのリンク
マイクプリアンプは増幅率200倍 46dBで、ALC選択可です。
ユニバーサル基板にマイクアンプを組み込んで、オッシレータから1.8mV入力してマイクアンプの出力電圧を調べると
入力周波数Hz | 入力電圧mV | 出力電圧mV |
70 | 1.8 | 400 |
400 | 1.8 | 425 |
800 | 1.8 | 429 |
1000 | 1.8 | 429 |
次にマイクを使って入力すると次のようになりました。
出力0dBをアンプに入力してスピーカの前にマイクをセットして測定しました。
入力周波数Hz | 入力電圧mV | 出力電圧mV |
70 | 3.20 | 650 |
400 | 0.88 | 195 |
800 | 0.60 | 113 |
1000 | 0.75 | 160 |
入力電圧が大きくばらついているのは、発振器、アンプ、スピーカと接続しているので特にスピーカとマイクの特性が積み重なって、変動しているようです。
こちらも大体200倍以上の増幅率があります。
ALCをOFFにすると入力電圧4mVをオーバーすると歪が出ますが、ALCをONにすることで、260mVまで入力出来ます。
マイクはオーディオテクニカのちょっと古いAT815で行ないましたがマイク出力0.5mVから0.6mVで46dBの増幅が十分出来きました。70Hz以下と、17000Hz以上は減衰が大きいです。
LINE用アンプについて
同じようにラインアンプもユニバーサル基板に組んでテストしました。ほとんどのオペアンプは2114を使用します。
増幅度0dBの場合入力は60mVから2.2Vまで可能です。(入力上限は未確認)。
このアンプはラインレベルで使用できるよう入力側にVRを入れるので、+4dB(1.228V)でも使えます。増幅率10倍から100倍ぐらいが、適当と思われます。
増幅度0dBから20dBの設定なので無理のない範囲と思います。
当初回路の抵抗は全て10kΩとしていましたが入力VRが10kΩの場合VRより高目が良いようなので1段目を50kΩ(47kΩ)としました。
ラインアンプは10倍 20dBとします。
出力用メインアンプ増幅度テスト
出力用アンプは反転増幅回路で、フィードバック抵抗比を1段目50kΩ:100kΩ、2段目10kΩ:100kΩで増幅度約20倍で約26dBの場合は出力6.8Vが限界で330mVまで入力出来ました。(実測値誤差は1段目抵抗50kを47kを使用したため)
入力周波数Hz | 入力電圧mV | 出力電圧mV |
70 | 318 | 4970 |
400 | 315 | 4920 |
800 | 315 | 4920 |
1000 | 315 | 4920 |
設計値21倍は出力トランス接続のため18.8倍となり、トランス出力側で15.6倍
となります。つまりアンプの増幅後74%にダウンするということです。
従って入力電圧0dBとすると
0.775VX74%=0.57Vになるため
メインアンプを3倍と設定しVRの80%とすると1.36V
大体このあたりがよさそうです。
実際の出力用メインアンプは各チャンネルの加算回路になっているので一段目は0dB(増幅度1)です。
基本回路は次の通りです。
MIXER-SUM.pdf へのリンク
各チャンネルからPANPOTを介してMAIN BUSへ出力された信号を加算してこの図では2段目で47kΩとしていますが33kΩに変更して計画通り約3倍に増幅してミキサー出力とします。
その他
1kHzオッシレータアンプとVUアンプ、ヘッドホンアンプは0dBとします。
VUはL,R,L+R。
ヘッドホンはL,R,L+R,とステレオモードを選択できるようにするため0dBであることが必要です。
セレクターによりRのみ、Lのみ、ステレオ、L+R、と選択しますが、L+Rの動作について説明します。
L側2段目出力(位相差なし、増幅度1)をR側の入力に加算することで、Rチャンネルに合成されるのでこれをヘッドホンL,Rに出力します。
HPBLK.pdf へのリンク
また、VUメーターもL+Rを行なうため0dBのアンプを使用しその後で増幅アンプを使います。
VU出力は正規のVUメーターで使用できるように、VUメーター回路を探して採用しました。
VUM.pdf へのリンク
入出力共バランスタイプとする。
入出力にはトランスを使うことにしたのは、バランスからアンバランス、アンバランスからバランスとおかしな接続が多いのでトランス式のほうが安全そうなので選択しました。ただしマイクトランスなど正規のものは高いので山水の安いものから特性を確かめてから使うこととしました。
やっているうちにあれもこれもになって簡単ではなくなりました。
トランス特性試験
トランスはマイク入力側をST−78としました。インピーダンスは10kΩ:10kΩです。
周波数特性はファンタム用抵抗6.8kΩ2本と1μFコンデンサーを2個付けた状態で2次側負荷10kΩを付けて60Hzから17000Hzまで使えそうです。
また出力用のトランスとしてST−71インピーダンス600Ω:600Ωで2次側負荷600Ωの抵抗をつけて確認すると。40Hzから17000Hzまで使えそうです。
実測値は次の通りです。
ちょっと縦軸が荒すぎました。
st7871.pdf へのリンク
ファンタム電源
簡単そうで厄介なのがファンタム電源です。
電池駆動で48Vは結構難しいのです。海外の資料にインバータで48Vを作るのが出ていましたが、これは、AC100Vから12Vを取り出し半波整流し、コンデンサで平滑すると大体17Vになります。
これをインバータ3個で発振、さらにインバータ2個を並列にしてパワーアップ、この信号を5倍圧すると言うものですが17Vを電池駆動で用意するのは中途半端で面倒です。電源用インバータは5V,12V,15Vがほとんどで17Vはちょっと見当たりません。
17Vを15Vに変更すると43Vしか出ません、また1つのファンタム電源で3チャンネルに分配はパワー不足のようです。
そこで15Vで3チャンネルとして次のようにしました。
まずインバータ3個で発振、3チャンネルに分けてそれぞれインバータでバッファ、これをそれぞれインバータ2個並列で3回路用意し、パワーアップ後6倍圧、3回路に接続する。ちょっとややこしいので回路図を見てください。
写真は1チャンネル分を試験的に作った物、コンデンサーが1つ小さいがちゃんと6倍圧できました。
mixphont.pdf へのリンク
オッシレータ
1KHzオッシレータは、ごく標準のウィーンブリッジで、1KHz発振を確かめました。
共通BUSへ0dB、0.775Vで出力されるようオッシレータ用アンプを調整します。
2組の15kΩと0.01μFで発振周波数を決めますので精度の高いものを使ったほうが良いかもしれません。
VUメーターで校正をしますのでメーターは大きめをお勧めします。
osc.pdf へのリンク
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