微細構造の撮影


  機材は20年以上前の物でオリンパスBH-2などを対象としています。又、位相差や微分干渉などは使用しません。

1.顕微鏡の分解能を高める。
  
  開口数の大きなアクロマチックアプラナートコンデンサ1.4、を使用します。
  対物レンズ、コンデンサーどちらも油浸します。
  光源の波長を短くします。 青色LED 470 nm
  

2.次に観察法として目視、写真、ビデオとなりますが、目視で200nmは確認できません。
  対物x100、接眼x10この条件で確認しても270nmはなんとなく見えますが200nmはまったく判りません。
  デジタルカメラは単色撮影であることに注意が必要です。RGBのCCDである場合R,Gは使われま
  せん、普通RとBはそれぞれ25%、Gが50%使われているので25%の画素数になります。
  1000万画素が25万画素になります。
  更に、画素数が大きくなってもCCDのサイズが大きくなっては意味がありません。1/3インチで30万画素の1画素のサイズは
  2/3インチで120万画素、35mmスチルサイズに変換すると2,000万画素と同じ1画素のサイズに当たります。
  CCD上での画像の分解能はその1/2の大きさの画素が必要です。
  又、接眼レンズからのコリメート法と、3眼の写真ポートを使うかですが写真ポートを使う方が安定して撮影できます。

  最後にビデオですが1/3インチでは30万画素以上のモノクロCCDカメラが最適です。珪藻の微細構造ではカラーカメラは必要ありません。
  ビデオキャプチャーソフトを使うとパソコン画面でモニターしながら撮影できます。緑から青、紫外線領域の感度が高いCCDを使います。
  ビデオ顕微鏡法では何枚もの映像を重ねて平均を取ると見えなかった映像が見えてきたり、ノイズが消えたりとフィルム
  では出来ない画像処理が可能です。コンポジットと呼ばれます。今回は天体撮影用フリーソフトのyimgを使いました。
  天体撮影などでは数十枚から数百枚コンポジットすることもあります。

  1/3インチCCDをリレーレンズx2.5で使うと目視の約14倍に拡大されます。(下の画像で説明)
  今回の撮影機材構成は変則的な方法です。35mmフィルムカメラ撮影装置にCマウント変換アダプタを付けていますので
  非常に拡大されます。35mmの対角43.3、1/3インチCCDの対角6です。比率は7.2です。

  x40で目視の視野とビデオの視野を比較した画像を示します。

画像A


画像B

  上の画像は対物x40 リレーレンズx2.5 1/3インチCCDビデオカメラ映像
  下の画像は対物x40、接眼 x10/20 コリメート法により接眼レンズより撮影したもので中心がずれた為右上が欠けていますが
  目視ではこのように丸く見えます。対象の珪藻が偏射照明で光っています。
  大きいスケールは目視の視野の半分、小さいスケールは上のCCD画像の視野です。

      CCDによる拡大倍率 = (大きいスケールを2倍した長さ) / (小さいスケールの長さ)

  約13〜14倍となります。
  リレーレンズをX2.5からX5に変更しても分解能は変わらないのであまり意味がありません。
  コリメート法で画素数の大きなカメラを使って部分的に拡大する方法でも良いと思います。
  分解能ぎりぎりまで拡大できることが必要です。


3.次に照明法ですが、偏射照明を使います。(輪帯照明が望ましいが今回うまく出来なかったので偏射照明を使う)直接光は使わず
  偏射照明で微細構造に照明光を当てます。



  琉球大学の泉水様より送っていただいた照明法による、見え方の違いです。
  偏射照明は位相差や微分干渉と比べ遜色のない照明法です。

  偏射照明で観察する場合、微細構造に直交した光線が必要です。偏射照明を回転させて構造のコントラストが最大になるところを探します。
  その場合、微細構造に直交していないと微細部分は全く見えません。
  又、偏光フィルターを使い偏射照明に偏光をかけます。(偏射照明装置の上にポラライザを置く)偏光フィルターを回転させてコントラストが
  最大になるところを探します。
  先ほどのモノクロ画像はどちらも偏射照明です。画像Aでは左下からの照明で、270nmの微細構造は見えませんが、うっすらと
  あるような感じです。x40では無理です。下の画像Bでは右下からの照明で対象の珪藻が光って見えます。


4. 270nmと200nmの微細構造をそれぞれ撮影しパソコンでコンポジットと合成しコントラストなど調整します。
  対物x100でコンデンサ共に油浸で撮影しています。


左下からの偏光偏射照明、4枚をコンポジット
偏射照明に直交している微細構造のみが見えています。


右下からの偏光偏射照明、4枚をコンポジット
こちらも偏射照明に直交している微細構造のみが見えています。


上の2枚(計8枚分)の画像をアドビフォトショップ5で合成しコントラストなど調整した画像です。



モニターからPCのUSBビデオキャプチャーユニットに接続します。

今回の観察条件

顕微鏡       オリンパス BH2(BHSU)
照明光       3W青色LED 470nm
接眼        x10/20
対物        DPlan 100x oil 1.25 油侵
コンデンサ     アクロマチックアプラナート開口数1.4 油侵
偏射照明      手作り偏射照明装置偏光板付き
撮影アダプタ    35mmフィルムカメラ撮影装置+Cマウント変換アダプタ
リレーレンズ    FK2.5x
ビデオカメラ    東芝テリーCS8630i 1/3インチCCDモノクロ38万画素
USBビデオキャプチャーユニット
キャプチャーソフト ビデオスタジオSE
コンポジットソフト yimg
画像処理ソフト   アドビフォトショップ5
パソコン      ペンティアム4 XP オフライン専用
検鏡試料      MWS分解能検査板RL−TEST




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