実際の顕微鏡撮影について
顕微鏡撮影機材の説明の補足として実際の撮影について述べます。
ここではオリンパスの有限系のシステムを使って説明します。
写真撮影
次の画像はオリンパス顕微鏡ではありませんが基本的な考え方を説明します。
対物レンズの実像は機械筒長の約10oほど手前にあります。
接眼レンズはこの実像を拡大してみることになります。
右の画像は接眼レンズを使わず対物レンズの実像を直接カメラのCCDに取り込む方法です。(Nikon1にNikonF用アダプター)
実像を確認するため焦点板を使って画像を投影します。
バックフランジ46.5o(NikonFマウント)の焦点板をトレーシングペーパーで作ります。
アダプターに乗せて胴付(接眼レンズを取り付ける一番上の部分)に取り付けます。
トレーシングペーパーがカメラのCCDの位置に来ます。
標本として対物ミクロメーターを使います。
画像左:接眼レンズで普通に焦点を合わし接眼レンズを外して焦点板をセットします。
画像右上:左の画像の位置では焦点板に実像は写りません。
画像右下:対物レンズを少し前進させると焦点板に実像が写ります。
実像位置が68o後ろに移動したことになります。
この方法は簡易的には撮影することはできますがこのように対物レンズ機械的筒長を大きく変更すると
光学的筒長も変化し光学的基準が変わり撮影倍率が変わります。又、分解能、コントラストなどの性能が下がります。
これはカメラの交換レンズに適切な変換アダプターを使わず無限遠の遠くの景色は焦点が合わなくても近くの焦点の合う
所だけ利用するようなものです。(NikonFボディーにNikon1用レンズを不正確なマウントアダプターを使用するようなもの)
と言いましても簡易的にはこれで十分です。
正式な撮影装置がなければこのような方法しかありません。
顕微鏡撮影機材のところで説明しています。
古い顕微鏡は各カメラメーカーが撮影用アダプターを販売していました。
現在Nikonの撮影用アダプターモデル2は中古で入手できますが接眼レンズなど指定があります。
又、ミリ単位の組み立て指定もあり大変厳密な使用が求められます。
次に接眼レンズを使った撮影装置ですが、これはメーカーごとに撮影用レンズ、カメラアダプターなどがあります。
PM−10のカメラ取付け部は次のように
T2リングニコンFアダプター、ステップアップリング42-52、52-67の3種類で取り付け部を作ります。
オリンパスではBH2用として、撮影装置としてカメラアダプターL、PM−10シリーズ、撮影用レンズとしてNFK2.5などがあります。
カメラアダプターLとPM−10シリーズはカメラ取付面までは同じ長さで105oです。
撮影用レンズはBHシリーズ用FKタイプとBH2シリーズ用NFKタイプがあります。
この違いはコンペンゼーションの関係かと思われます。
BHシリーズは対物レンズの同焦点距離が36.65mm(一般では36mm)の短頸でしたがBH2では45mmの長頸に変わりました。
又、対物レンズは特定の接眼レンズとの組み合わせで色収差などが調整されていますので組み合わせが重要です。
上の画像は左が短頚の対物、接眼、撮影用レンズ、右は長頸です。
以下に詳しく説明されています。
https://www.olympus-lifescience.com/ja/support/learn/03/044/
カメラアダプターLとPM−10シリーズは焦点板を載せて確認すると接眼レンズでピントが合っているときに焦点板もピントが合います。
コンデンサの効果
まずコンデンサの効果を実際の撮影で確認します。
一般に中古で入手できるコンデンサ
AAコンデンサ アプラナート アクロマートコンデンサ 10X〜100X
SCコンデンサ スイングアウトコンデンサ 2X〜4X 10X〜100X
CDコンデンサ アッベコンデンサ 4X〜100X
低倍率用や暗視野用コンデンサーはなかなか入手できません。
一般にはアッベコンデンサで十分です。
2Xなどの4X以下の対物レンズにはスイングアウトタイプ。
高倍率のカラー撮影にはAAコンデンサーが最適です。
これらのコンデンサは通常液浸せず乾燥状態で使用しますが液浸してはいけないのかは分かりません。
私は極端な偏射照明でAAコンデンサを液浸して使用しましたが偶然かどうか問題はありませんでした。
各自の責任で行ってください。
対物レンズ 20X 開口数0.46
アッベコンデンサ開口数0.45
焦点を少しずつずらしていきます。
左下より右上に焦点が移動します。
アッベコンデンサ開口数0.2にすると被写界深度が深くなります。
アッベコンデンサ開口数0.1にするとさらに深くなります。
画像は暗くなります。
開口数を下げるとコントラストは強くなります。
コントラストが強いほど識別しやすく、コントラストが弱いと識別しにくいです。
又、コントラストを強くすると分解能が下がります。
左は開口数0.4、右は開口数0.1で撮影
開口数0.1では分解能が下がったので細部が見えません。
対物レンズの開口数の70%に当たる0.28で撮影
程良いコントラストで高い分解能で観察するためには
対物レンズの開口数の70%程度が良いといわれます。
これらは分かっていてもなかなか実際の観察では忘れがちです。
被写界深度を大きくする場合は深度合成ソフトを使ってください。
これは以前深度合成した画像です。
カラーでも可能です。
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ご面倒ですがアドレスの@後の”xxx”をカットしてください又、件名がinputとなっていますが訂正ください。
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